かわら版

10年後も「良い」と思う家とは

 電化製品や車、家づくりで言うとキッチンやトイレといった設備品は年々進化しています。ここ数年は全て『エコ』という言葉が使われ省エネルギーを重視したものになってきています。

 

 いくら最新の設備を備えていてもいつかは最新でなくなってしまう・・・。

それより家自体が快適な方が良いのでは・・・という思いで、西条本社をリフォームするにあたり、『自立循環型住宅』を目標とする『パッシブデザイン』の事務所にしよう! そして多くの方々に体感してもらおう! と『パッシブデザイン』にチャレンジしました。

住生活に必要なエネルギー供給を他者から受けずに済ますことを理想とした住まいづくりです。

 

 室内環境の質を保ちつつも、エネルギー消費の削減とそれによる二酸化炭素排出抑制を目指しています。

間違われやすいのですが、『パッシブ住宅』は冬でも半袖で過ごせるような家づくりではありません。

パッシブデザインは新築だけではありません。リフォームでも取り入れる事ができるので、リフォーム前よりも快適な住環境を実現することができます。

 

 私たちは、『木』が大好きな集団で『木』を得意としています。『木』は生活空間において、とても良い効果をもたらす素材です。自然素材の『木』をメインにその他の自然素材を使用しさらに室内環境の良い住まいを実現させました。

パッシブとは

 『パッシブ』には、「受け身の・消極的」という意味があります。

家づくりにおいて『パッシブ』とは建物を取り巻く外的環境である 自然・太陽・風・空気・熱(暑さ・寒さ)を建物に取り入れて住宅内部の環境を良くしようとする意味合いです。

 夏は日射しを遮り、風通しを良くする。冬は太陽の光と熱を取り入れ部屋を暖かく・・・。そうした太陽をはじめ風や熱など自然の力を生かして快適な住環境を手に入れる方法。それが「パッシブデザイン」の設計です。

 

 

豊北木材のこだわり素材

内装材(壁材)

 内装材の種類はいろいろ。西条本社では、珪藻土・紙の塗り壁・木材・クロスの4種類を使用しています。

 

【珪藻土】

 珪藻土と一口に言っても自然素材のみで作られるものと、合成樹脂が使われているものがありますが、ここでは自然素材のみのものを使用しています。

 この珪藻土には、ホルムアルデヒドなどの悪臭物質・有害物質を吸収し室内空間をクリーンに保とうとす働きがあります。また、調湿性があるので室内の濃度が高くなると湿気を吸収し、乾燥状態になると逆に湿気を放出する作用をもっています。

 

【水紙】

 原材料は、あの牛乳パックです。また、これに使用されている糊も植物性。色も化学顔料は一切使用せず、天然素材を使用しています。

  だから臭いもなく、手についても安心。また、この材料はクロスと違い、左官さんがコテで塗る「塗り壁材」で、塗って乾くと温かみのある手漉き和紙のような感覚・やさしい肌触りのような壁になります。

 

 

【木材】

 基本的には「スギ」「ヒノキ」の無垢材になります。その他「ケヤキ」「キリ」なども使う事があります。一言に「スギ」「ヒノキ」と言っても節のあるものないもの、幅の広いもの狭いものによって表情がいろいろと変わります。

 また、天井まで張るのか、縦に張るのか、横に張るのか・・・それぞれ部屋の雰囲気が異なってきます。

 

 

【内装材(天井材)】

 本社事務所の天井は、木材とクロスを使用しています。施工性・費用面・メンテナンス面を考えると天井は、クロスをお勧めしていますが、こだわりの空間などは「木」を張る事もお勧めです。天井に張る「木」も、壁と同じく、節のあるもの、ないもので表情が異なります。

 

 

 

【内装材(床材)】

 本社事務所の床は5種類の無垢材を張り分けています。無垢材といっても、表面塗装がありツヤツヤしているものや、自然のままの木の表面のもの、もちろん、節のあるものないもの、継ぎ目の多いもの少ないもの、色合い、風合い、キズに弱いもの、強いもの・・・いろいろあるので、ご相談下さい。

 

 

 

自然との調和

自然風の利用

 自然の風を取り入れる工夫をしています。 風の入る方向を知り、外の風を取り込みやすくし、室内を風を通りやすくする事で、夏場、夜間を涼しく保つようにしています。

また、高い位置に窓をつくる事で、部屋の上部にたまった熱を排出します。

 

 また、キャットウォークを作ることで、窓掃除なども簡単にすることができます。

軒先を深くする事で夏の陽射しを遮り、冬の陽射しを建物の中へと取り入れやすくしています。昔ながらの家づくりの要素を取り入れています。その為、垂木は通常良く使うものより太く大きな材料を使用しています。

 

 

 

昼光利用 日射熱の利用

 夏は暑い日差しを遮り、冬は部屋の奥まで陽射しが入るよう、階段部は縁側のような感じのところにつくりました。吹き抜けをつくることで開放感があり、南側に面しているので、2Fの窓からは光が入り、日中はとても明るく照明がいりません。

 

 サッシは熱・空気・光・眺望など屋内外をつなげる機能と同時に断熱性や防犯性が求められますが、中でも断熱性は弱点となりやすい部分です。サッシ・ガラス共に多様のバリエーションがあります。西条本社では、3種類のサッシを使用しています。熱伝導率が低く、サッシの内側が樹脂のタイプと、サッシ枠のスッキリしたもの、ガラスは全て複層ガラスになっています。こういったサッシを使用する事で断熱性能が高くなります。

 

 また、サッシの機能以外に夏の陽射しを遮る一番の方法は、「窓の外側に影をつくる事」です。一番の方法は、「外付けブラインド」ですが、コスト面を考えると、「すだれ」「緑のカーテン」も効果的です。

 

【断熱材】

 断熱というのは、住宅の室内と室外との境界における熱の出入りを抑制する事を目的としています。この事が省エネルギーで良い室内環境にする事につながります。

断熱材にはいろいろな種類があり、工法により適しているもの、適さないもの、価格の差などあるのでその状況に応じた断熱材を使用するのがベストです。

西条本社の事務所では「現場発泡断熱材」を採用しています。(一部ボード状断熱を使用)

 

 

【外付けブラインド】

 夏の昼間の冷房時に建物内に侵入する熱量の71%は窓から入る日射です。外付けブラインドならその日射エネルギーの80%以上をカットできるので、冷房効率が大幅にUPします。

また、ブラインドなので、光の調節もでき、外から中は見えなくても通風ができます。

 

 

通気

 断熱と同時に大切なのが「通気」です。断熱を良くしたいだけでは目に見えないところで結露が発生し、建物自体がダメになってしまいます。

 

 西条本社の建物は、見た目は昔ながらの建物のようにしていますが、大壁構造になっており、見えている柱は付柱(後からつけた柱)で、壁は「しっくい塗り」になっていますが、外壁通気工法になっています。

【棟換気の仕組み】

 木造の建物を長く保たせるためには、木材を乾燥させることが大切です。湿気は建物の内外から入りこみます。そして、暖かい空気は水蒸気を含んでいま すが、気温が下がると内部結露が発生しやすくなります。そこで、外壁と建物の間(柱の間)に空気層を設け、空気を通すことで、木材の乾燥を保ちます。

 

 

 

 そして、湿気は通すが、雨水は通さない素材が使用されています。

通気の仕方も工法により数種類ありますが、西条本社では、外壁や軒から入った空気が、屋根の「棟」から抜ける「棟換気」になっています。

 

 

【参考資料】

自立循環型住宅への設計ガイドライン        国土交通省 国土技術政策総合研究所

                                 独立行政法人 建築研究所

省エネ・エコ住宅設計究極マニュアル                 編・著 野池 政宏

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